人類が、太陽から0.3光年離れたところに発見した「ユアノン」なる素粒子を利用した恒星間宇宙船を開発し、惑星改造により太陽系外に居住惑星を拡大し始めて何世紀も後のこと…。
ハイド星系・惑星マーティンの政府主席の息子ジント・リンが幼少の頃、彼の故郷は「アーヴによる人類帝国」なる星間帝国の大艦隊によって侵略を受けた。彼の父ロック・リンは降伏と引きかえに貴族の称号を得、そのためジント自身も帝国貴族の一員となる。それから7年後、ハイド伯爵公子となったジントは、皇帝の孫娘ラフィールと運命的な出会いをする。 その時からジントは帝国貴族として生きていく事を決意する。
スキミン ソーター ブロッキ レニア ツーリング ナスカ イジェクト ビッグ カット 管弦楽団 ユース イブ日本 バンコ ゾーニング フルスピ モンテ サクラ キット モメンタム スラング 波間 ヒロポン ハシソウ プレース ジャル めんだ トラベラ パロディ タイプ オーバー ウィグ パキラ そらち ダラー シロッコ バーベナ ダーク フリー スーツ マウス ネクタ ネチズ ヨット バリ デリン ブルーデー フェルト イーブン ブライ にしままい
物語では、アーヴとよばれる遺伝子改造によって生まれた架空の種族によって宇宙の人類世界の大半が支配されている。アーヴはホモ・サピエンスと異なる遺伝的特徴をもつにとどまらず、宇宙空間を旅する船舶、あるいは宇宙に浮かぶ都市や施設など宇宙空間で暮らす事を常とすることでも人類一般と異なる。
このアーヴという種族の設定のみならず、超光速航行を可能にするために別の宇宙である「平面宇宙」を移動する、平面宇宙航法と呼ばれる恒星間航行の設定や、アーヴ語と呼ばれるアーヴ独特の言語体系などの設定も星界シリーズの大きな特徴となっている。
日本神話を世界設定の背景にしていることも特徴的で、例えば八頸竜「ガフトノーシュ」は「八俣大蛇(ヤマタノオロチ)」、金色鴉「ガサルス」は「八咫烏(ヤタガラス)」、皇族「アブリアル」は「天照(アマテラス)」、帝都「ラクファカール」は「高天原(タカマガハラ)」であり、また「帝国(フリューバル)」は星々の集合ということで「御統(ミスマル)」の語形変化とされる。
また、(侵略者でもある)専制国家を従来のようにステロタイプな敵役としては描かず、むしろ「主人公を法の枠さえ超えて厚遇してくれる」ある種の理想国家として美化して描き、厚遇の象徴として高貴な身分のヒロインを主人公に配した最初の作品でもある。
ロック・リンの降伏・叙爵に伴い、ジントはロックの秘書にして育ての親であったティル・コリントと離れ離れになり、ヴォーラーシュ伯国デルクトゥーに送られた。7年後、アーヴ言語文化学院を卒業したジントは帝都ラクファカールにある星界軍の主計修技館(ケンルー・サゾイル)に入学するため巡察艦ゴースロスに乗り込む。彼を迎えに来た翔士修技生ラフィールは、皇帝の孫であった。いろいろあった末に友情を結んだ二人は、突如4ヵ国連合の一つである人類統合体の艦隊の攻撃を受けて脱出(その後ゴースロスは撃沈)。二人を乗せた連絡艇は燃料補給のためフェブダーシュ男爵領へ到着するが、男爵により二人は引き離され、ジントは監禁されてしまう。
星界の紋章II
ジントが監禁されている事を知ったラフィールは男爵の家臣セールナイらと、ジントは共に監禁されていた前男爵スルーフと協力して脱出し合流。追撃してきた男爵を倒した二人は目的地のスファグノーフ侯国へ向かうが、惑星クラスビュールに着陸したときにはすでに人類統合体により星系は占領されていた。地上人に変装した二人を待ち受けていたのは、マルカ率いる、帝国からの独立を夢見る「反帝国クラスビュール戦線」の面々であった。一方、4ヵ国連合の大使から抗議された皇帝ラマージュは連合に対して宣戦布告した…。
星界の紋章III
二人の着陸跡を発見した人類統合体軍は、二人と「戦線」との関連を突き止め、追跡を開始。ルーヌ・ビーガ市警察のエントリュア警部は統合体のカイト憲兵大尉とともに二人を追う。一方、スファグノーフ奪還のために帝国は大艦隊を派遣。スファグノーフ門沖会戦が始まった。あちこちで追跡劇を繰り広げた二人を脱出させるために「戦線」のメンバーは奇想天外な脱出法を提案。二人は無事に救出されたが、そこに待ち受けていたのは……。
そして、3年後……
登場人物
星界シリーズの重要諸設定
星界シリーズにおける宇宙観は、通常の宇宙物サイエンスフィクションとは大きく異なる。一番著しいのは、超光速航法の描写である。通常宇宙空間から「門」を通じて「平面宇宙」という別の宇宙空間を経由して、再び「門」をくぐって通常宇宙空間へと戻るという方式である。もちろんこのような「場所を限定するワープ」というのは、過去のSF作品でもよく見られるものであるが(ワームホール航法など)、星界シリーズの超光速航法で特徴的なのは、別の宇宙空間である「平面宇宙」での描写が詳細である事である(他作品では、ワープの間に経由する別宇宙空間は一瞬のうちに通過してしまい、ほとんど描写されない場合が多い)。「平面宇宙」の通過にはそれなりに時間を要し、そこでの宇宙戦闘艦どうしの戦闘も生じる。また恒星間の移動は全て「平面宇宙」を経由する事から、宇宙地図・星間国家の勢力図は、平面宇宙上の地図で表される。
この世界には、かつては数百を越える国家(恒星系ごとに独立)が存在したようであるが、長年の間に侵略と併合を受け、現在は「アーヴによる人類帝国(フリューバル・グレール・ゴル・バーリ)」、通称「帝国(フリューバル)」を含めて5ヶ国しか存在しない。
帝国は人類宇宙の約半分を支配し、その交易により莫大な富を得、超大規模の星界軍(ラブール)を維持している。と言うよりも、星界軍が帝国の政治、行政の多くを動かしており、事実上帝国の基盤となっている。
形式上は皇帝(スピュネージュ)が帝国全体を統治しているが、その支配は緩やかなものであり、地上世界(ナヘーヌ:有人惑星)では現地人から成る領民政府(セメイ・ソス)が各惑星の統治を行い、帝国に対しては領民政府の代表である領民代表(セーフ・ソス)が、帝国貴族である領主(ファピュート)と各種の交渉を行う(領民政府の統治権は大気圏外には及ばない。従って複数の有人惑星を持つ星系には同数の領民政府がある)。
このように、帝国は地上世界や領民(ソス)に対して直接関与せず、地上世界で起きていることに通常はまったく関心を払わない。領民は、帝国臣民としての自覚や忠誠を期待されてはおらず、帝国の支配に反対することすら禁止されていない。
人類宇宙の残りの半分は、一部は遺伝子操作種族もいるものの、普通の人類からなる「人類統合体」「ハニア連邦」「拡大アルコント共和国」「人民主権星系連合体」が、離合集散しながら統治している。彼らは一般に、アーヴの帝政に嫌悪感を持っており、民主主義国家を標榜している。「4ヵ国連合(ノヴァシチリア条約機構)」という軍事同盟を結んでアーヴによる人類帝国と敵対しているが、各国の帝国に対する態度には温度差がかなりある。
戦いは、帝国以外では最も強大にして敵愾心の強い、人類統合体の大規模な先制攻撃から始まった。帝国は、これに対し断固たる報復で応える所存であった……。
アーヴによる人類帝国
アーヴとは
帝国(フリューバル)の社会構成
アーヴ
法律上は皇族・貴族・士族の総称。つまり地上人でも功績によって士族や貴族に取りたてられればアーヴとして扱われる。ただし、子孫にその爵位(スネー)を継がせたければ、遺伝子操作により生物学的なアーヴとしなければならない。
皇族(ファサンゼール)
「アブリアル」の氏姓と「ネイ」の姓称号(サペーヌ)を持つ八王家(ガ・ラルティエ)に属する者。軍役に就く義務を負い、同世代の皇族の中で最初に帝国元帥(ルエ・スペーヌ)まで昇進できたものが皇太子(キルーギア)になり、同時に他の皇族は予備役編入となる。なお、各王家の長はそれぞれ帝都ラクファカールにある八つの門の一つと、それに(平面宇宙側で)近接する多数の門からなる王国に封じられている。王家の長以外の皇族は、通常どこかの恒星系を領地(リビューヌ)として与えられ、貴族爵位を持つ(たとえばラフィールは子爵である)。なお、皇帝は「アブリアル伯爵」の爵位を持つが、これは帝都ラクファカールの領主、という立場であり、実質上皇帝としての称号である。皇族は、全員が生物学的なアーヴである。
貴族(スィーフ)
原則として、恒星系を領地として持ち、世襲でそれを統治する者で、領主(ファピュート)とほぼ同義である。皇族から分かれた家は「ボース」、帝国成立時からある貴族の家は「アロン」、帝国成立後に貴族となった家は「スューヌ」の姓称号を持つ。爵位は上位より大公爵(ニーフ)・公爵(レークル)・侯爵(レープ)・伯爵(ドリュー)・子爵(ベール)・男爵(リューフ)がある。アーヴの爵位は領地の状態に由来しており(詳細は後述。また例外は大公爵で、根源氏族直系の長を表し、地上世界の状態に由来しない)、それゆえ地球上に存在した爵位のように貴族の階級別栄誉称号ではない。地球上の爵位は元は職名に由来しており、その職が有名無実化する事によって栄誉称号化したものが多いが、アーヴの貴族社会はそのような変遷をまだ経験していないためである(後述する通り軍隊は兵器体系の変遷があり、職名が階級化している)。ただし領地と爵位が密接に関わっている点に関してはヨーロッパの爵位と類似はしている(それゆえヨーロッパでは複数の領地を持つ貴族が複数の爵位を持つ場合もあるが、アーヴにおいては複数の領地を持つがゆえに複数の爵位を持つのは皇帝のみである)。
世襲の貴族の場合、各爵位の叙爵基準は以下の通り。
大公爵
皇族であるアブリアルを除いた根源二八氏族直系の一族の長のみに与えられる。領地の規模は様々であるが、必ず領民が住む地上世界(邦国(アイス)と呼ぶ)を含んでいる。
公爵
侯爵の中で、特に大きな功績があった者が昇格する。生まれの血筋に関係なく、帝国内で誰もが到達可能な最高位である。ただし、実際に到達するのは極めて困難である。
侯爵
領地内に、領民が住む地上世界を持つ。通常、領地内の領民数が1億人を超え、なおかつある程度以上の領地経営の手腕が認められていることが必要。
伯爵
領地内に地上世界を持つが、領地内の領民数は1億人以下か、領地経営の手腕が不十分である場合。
子爵
地上世界を持たず、領地はすべて無人の所領(スコール)。ただし、環境改造すれば居住可能になる惑星を領地に持ち、そうした惑星を開拓して帝国の拡大に貢献する事が期待される。
男爵
領地に地上世界を持たず、また環境改造しても居住可能とできる惑星を持たない。恒星エネルギーを利用した反物質燃料の生産や、無人惑星(小惑星やガス惑星等)から鉱物資源や燃料の水を採掘し、それらを売ることで生計を立てる。
地上世界を持つ場合(大公爵、公爵、侯爵及び伯爵)を「諸侯(ヴォーダ)」と呼ぶ。領主の収入は、無人惑星の鉱物資源採掘権、恒星周辺における反物質燃料(ベーシュ)の生産権を利用した生産物の売却益で、さらに諸侯の場合、他星系との星間交易権の独占による商取引での利益がある。これらの「領地経営による収入」については、帝国から課税される(帝国への納税は貴族の高貴なる義務であり、中世・近世の実際のヨーロッパ貴族が免税特権を持っていたのとは逆である)。
帝国に編入されたばかりの星系や、何らかの理由で領主が空位となった星系は一時的に帝国直轄領=皇帝領となり、新たな領主が決まるまでは代官(トセール)が任ぜられる。そのため、皇帝は上記の「アブリアル伯爵」以外にも、その領地の数だけ男爵から公爵までの爵位を同時に持つ立場になることがある。
貴族自身が長く行方不明の場合(たとえばヴォーラーシュ伯爵など)や、特に諸侯で何らかの事情により地上世界の統治が困難または不可能である場合(たとえば取り決めにより領地内に長期滞在できないハイド伯爵など)にも、領地の近く(通常、軌道城館内)に代官が置かれる。これらの場合の代官は一時的なものではなく、比較的長期にわたり、その任に就くこととなる。
貴族の子弟が爵位を継ぐには、翔士として最低10年(修技館及び翔士修技生を含めると13年)、星界軍へ奉職することが義務づけられている。また、領地を持っている場合、星界軍に所属している間は無給である(ただし何らかの事情で収入がない場合は、星界軍から年金が支給される)。
数は少ないが、領地を持たない貴族も存在する。本来は領地を持つ世襲の貴族であるが、敵国の侵略等により領地を奪われた貴族(ジントも一時的にこの立場になった)と、皇族から離籍した公子(皇帝にならなかった皇族や王族の子女)、領地を持つ貴族の傍流で『公子』という爵位のみ継承する貴族、一代限りの貴族(星界軍や帝国政府で特に高い地位に達した国民、官僚などで、称号には『帝国(ルエ)?』の後に公爵以下の爵位がつく)がある。
また、上記の一代限りの貴族が領地を賜って世襲の貴族になる場合もある。例を挙げると、星界軍の翔士は、各兵科(一部を除く)の最高位である星界軍元帥になると叙爵される(フェブダーシュ男爵・クロワールの祖母は一領民であったが、従士から翔士、さらに技術元帥・艦政本部長官に出世、所領を賜り正式の男爵となった)。
星界軍の翔士以外にも、官僚が功績を上げて貴族となる場合もある。ただし多くは一代限りの貴族であり、世襲の貴族となる場合は少ない。宰相まで勤めてもせいぜい男爵、特筆すべき功績をあげても子爵が精一杯で、条件は厳しい。国民ですらなかった地上人が一足飛びに貴族、しかも伯爵となったロック・リンは、例外中の例外である(帝国編入と引き換えに皇太子ドゥサーニュに自らが貴族となることを認めさせた)。
上記の叙爵基準から、男爵から子爵への昇格は、かなり困難であると考えられる。男爵は、自領にどのような投資をしても有人惑星を持つことが不可能であるため、子爵以上に昇格するには何らかの大きな功績を挙げ、少なくとも有人惑星が持てる別星系の領主となることが必要である。子爵以上であれば、自領への投資(惑星改造、移民募集、邦国への経済的援助など)により、公爵までの上位昇格を狙うことができる。
なお、貴族籍を捨てることもできる。すべての貴族特権を失い、領地は帝国へ返上となる。
諸侯は約1600家で、家族を足しても2万人足らず。貴族全体では20万人ほどである。
士族(リューク)
皇族、貴族以外のアーヴ。一等?五等の5階級から成る「勲爵士」と呼ばれる身分を持つ。星界軍での位階との対比の目安は、以下の通り。
一等勲爵士(ラローシュ)
艦長称号(サレラジュ)を受けている者。
二等勲爵士(キゼー)
十翔長と、副百翔長以上で艦長称号を受けていない者。
三等勲爵士(ルフール)
後衛翔士と前衛翔士。
四等勲爵士(エナーヴ)
列翼翔士。従士からたたき上げた軍士が最先任従士長から列翼翔士に昇進したら、この位置となる。
五等勲爵士(リヘール)
士族として生まれ、成人したがまだ翔士になっていない者(翔士修技生を含む)。
提督など、より高い位階に達した場合は、一代限りの貴族爵位を持つ場合がある(上記)。
また、星界軍に入らずとも、官僚としての功績によって国民から士族になる場合もある(貴族にまで昇進するケースもあるのは上記の通り)。ラフィールを保護した『紋章』の反帝国クラスビュール戦線のメンバーのように、領民からいきなり士族になったケースもあるが、これは「アヴリアルが約束を守らないのは許されない(ラフィールは彼らに対して宇宙船を貸与してもらえるよう、皇帝陛下に願い出ると約束したが、宇宙船の貸与は士族以上の身分の者にしか認められていなかった)」・「領民ですら無かった地上人からいきなり貴族になった前例もある」として認められた特例であり、その後同様のケースが生じたかは、現時点では不明である。
帝国成立時からある士族の家は「ウェフ」、帝国成立後に士族となった家は「ボルジュ」の姓称号を持つ。なお、領地を持たないため、帝国から課税されることはない。約2500万人ほど。
地上人
国民(レーフ)
星界軍従士や貴族の家臣などとして働く者。ただし、上記の通り功績次第では栄達も可能。官僚になるアーヴが少ないこともあり、歴代の帝国宰相は地上出身者が多い。領地を持たないので、帝国から課税されることはない。約10億人。
領民(ソス)
地上世界(ナヘーヌ:有人惑星)で生活する者。領民政府(ソメイ・ソス)の統治下にあり、大気圏から出ない限りは完全な自治権を持つ。課税に関しては領民政府が課すものであり、帝国は関与していない。星系内のみを航行する非武装の宇宙船であれば、領主の許可があれば保有できる。約9000億人。平面宇宙航法の確立前に亜光速宇宙船を使った移民の時代がかなり長期間に渡ったため、その文化や社会は実に多様である。また、アーヴに対する見解や立場も様々である。アーヴから遺伝子調整の情報を提供された領民政府も存在するが、アーヴの特色である空識覚器官(フローシュ)だけは禁止されており、空識覚器官を持つ領民は国民にすらなることはできない。